第1類抗がん生薬:カイジ・フアイア

はじめに

以下に紹介するカイジ顆粒(槐耳顆粒/Huaier Granule)は槐(えんじゅ)の老木に寄生する「カイ栓菌キノコ」(Trametes robiniophila Murr)を菌糸培養による製造方法を確立されまた。1992年に中国の「第一類抗がん生薬」として中国政府から許可されて医薬用薬品として、現在医師が処方する医薬品として、中国国内で広く臨床応用され使用されています。

基礎研究や臨床研究を積極的に行い一流の医学雑誌に掲載されており、高いエビデンスを確立していることが特徴です。

製品名:槐耳顆粒(かいじがりゅう)
槐耳(かいじ)は中国の古い槐の木に生育する天然のキノコであり、薬用としての記録は早くも『肘後方(ちゅうごほう)』や『唐本草(とうほんぞう)』に見られます。味は苦辛、性質は平で無毒。「風を治し」「血を破り」「体力を補う」効果があるとされています。


一、槐耳の由来

槐耳は中国の古槐(こかい)と呼ばれる古い槐の木に自生する天然のキノコで、古槐の精華を吸収し、天地の恵みを受けて野生で育ちます。
民間には「槐耳」と呼ばれる似たような種類が混在していますが、広範な調査研究により、正真正銘の「槐耳」は老齢の中国槐の幹に生える**槐栓菌(学名:Trametes robiniophila Murr.)**であることが確認されました。
この確認は中国科学院微生物研究所の趙繼鼎(ちょう・けいてい)教授らによって再確認・鑑定されています。

槐耳は、菌類界・真菌門・担子菌亜門・層菌綱・非褶菌目・多孔菌科・栓菌属に属します。文献調査の結果、これは正式に報告されたことのない新たな薬用菌類であることが明らかになりました。

歴代の本草書および現代の中薬文献を調べると、槐耳について最も詳しく記載されているのは明代の『本草綱目(ほんぞうこうもく)』です。薬用としての記載は『肘後方』および『唐本草』が初出であり、「風を治し、血を破り、力を益す」作用があるとされています。明代以降の重要な本草書にもその記述が見られますが、画像は一切残されていません
清代以降の文献では記述がなくなり、槐耳は歴史の中で忘れ去られました。
しかし2006年に南京中医薬大学が出版した『中薬大辞典』で再び収録されました。


中医学の見解

益力(いきりょく):
中医学では「益力」とはすなわち「気を補い、正気を扶ける(ふすける)」ことを意味します。五臓六腑の正気を補い、弱った臓腑の機能を回復させ、気血が旺盛になって臓腑の働きが正常になれば、外邪(病気)を防ぐことができます。これは現代医学の「免疫力向上」の考え方と一致します。

破血(はけつ):
中医学では「気は血の将(ひきいるもの)、血は気の舎(とどまるもの)」とされ、気が巡れば血も巡り、気が滞れば血も淤(お)します。気が血を生まなければ血が不足し、血が気を生まなければ気が虚します。気血のバランスが崩れれば腫瘍が発生するとされています。

槐耳顆粒の「破血」作用は「益力」を基盤にして、気を補い血を巡らせ、血を活かして淤血(おけつ)を除くものです。補気して淤を残さず、破血して気を傷つけないことで、正気を扶けて根本を固め、腫瘍を取り除くという「標本兼治(ひょうほんけんち)」の目的を達成します。
槐耳顆粒には槐耳だけが含まれていますが、それだけで腫瘍治療の基本法則を体現しており、「扶正」と「抗がん」の二重の働きを持っています。


二、槐耳の成分分析

主な有効成分は**多糖たんぱく質(PS-T)**で、6種類の単糖で構成された複合多糖と18種類のアミノ酸から成るたんぱく質です。
PS-Tは茶褐色の粉末で、明確な融点はなく、280℃で黒変します。熱水に溶けやすく、低濃度のエタノールにわずかに溶け、水溶液のpHは5~6、旋光性なし。含糖量は41.53%、水分8.72%、加水分解後のアミノ酸含有量は12.93%、分子量は30,000です。

国内の権威ある研究機関と共同研究を行い、現在以下の4種類の単一成分が確認されています:

  • TP-1
  • TP-2
  • TP-3
  • TP-4

これらはいずれもマウスのB細胞を刺激し増殖させる効果を持ちますが、T細胞には作用しません。
また、腫瘍の血管内皮細胞の増殖を顕著に抑制する作用があります。

槐耳の抽出液混合体はT細胞とB細胞の両方の増殖を促進することから、単一成分と混合体ではリンパ球刺激作用に違いがあることが示されています。

この研究成果はすでに国家特許を取得済みです。


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