抗がん剤治療における副作用の一つに「脱毛」があります。特に女性にとって髪は自分らしさの一部。治療によってその髪を失うことへの不安やストレスは計り知れません。そんな中、「頭皮冷却装置」が注目されています。本記事では、脱毛を心配する方に向けて、その仕組みや効果、費用、提供施設などを詳しく解説します。
1.頭皮冷却装置のしくみについて
頭皮冷却装置(スカルプクーリング)は、抗がん剤が毛根へ到達するのを抑えることを目的とした医療機器です。使用時には、冷却キャップを頭部に装着し、治療前・治療中・治療後に一定時間冷却します。この冷却によって頭皮の血管が収縮し、血流が一時的に減少します。その結果、抗がん剤が毛包(毛の根元)に届きにくくなり、脱毛のリスクを軽減できるというしくみです。
2.頭皮冷却装置の脱毛予防の効果について
近年の研究では、特にタキサン系やアンスラサイクリン系の抗がん剤を使用する場合に、頭皮冷却装置の効果が高いとされています。報告によれば、約50〜65%の患者が、医療用ウィッグを使わずに日常生活を送れる程度の毛髪を維持できたとするデータもあります。ただし、効果には個人差があり、がんの種類や抗がん剤の種類、使用タイミングによって結果が異なる点には注意が必要です。
3.脱毛予防の長期予後について
多くの研究では、頭皮冷却による毛髪の早期回復も確認されています。脱毛を完全に防げなかった場合でも、治療後3〜6か月で自然な発毛が見られるケースが多く、冷却によって頭皮のダメージが軽減されることで、回復もスムーズになると考えられています。また、冷却装置の使用ががん治療の効果に悪影響を及ぼすというエビデンスはありません。
4.頭皮冷却装置の治療にかかる値段について
頭皮冷却装置の使用にかかる費用は保険診療外のため、医療機関や回数によって異なります。日本国内では1回あたり5,000〜20,000円が相場とされており、治療全体で20〜40万円程度かかる場合もあります。保険適用外のことが多いため、事前に費用の確認が必要です。自治体によっては助成制度を設けている場合もあるので、利用を検討してみましょう。
5.どこの医療施設(病院・クリニック)で受けることができるかについて
現在、全国のがん拠点病院や一部の大学病院、乳腺専門クリニックなどで導入が進んでいます。日本スカルプクーリング研究会の公式サイトでは、頭皮冷却装置を導入している医療機関のリストも公開されていますので、通院予定の施設に確認してみるとよいでしょう。
健康的な生活習慣もあわせて意識しましょう
脱毛の予防や回復を助けるためには、体全体の健康状態も重要です。バランスの取れた食事、質の良い睡眠、適度な運動を日々心がけましょう。特に、たんぱく質や亜鉛、ビタミンB群を含む食品は毛髪の健康をサポートしてくれます。また、強いストレスはホルモンバランスを崩し、髪にも影響を与えるため、リラックスできる時間を意識的に確保することも大切です。
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