抗がん剤の動脈内注射とカイジ・フアイアの併用療法

以下は、英語論文「Transarterial chemoembolization combined with Huaier granule for the treatment of primary hepatic carcinoma(経動脈的化学塞栓療法とフアイア顆粒の併用による原発性肝がんの治療)」の内容を、一般の方にも分かりやすく日本語で要約・翻訳したものです。


🧪研究の背景と目的

肝臓がん(特に肝細胞がん)は、世界中で非常に多く見られるがんの一つで、特に中国では年間50万人以上が診断されています。初期に見つかれば手術で治療できますが、多くの患者さんは進行した段階で見つかるため、手術が難しい場合が多いです。

この研究では、**「TACE(経動脈化学塞栓療法)」という標準的な治療に、フアイア顆粒(Huaier粒、漢方薬の一種)を加えると効果が高まるのでは?**ということを調べました。


👨‍⚕️研究の方法

  • 対象者:62人の肝がん患者(平均年齢53.7歳)
  • グループ分け
    • 通常のTACEのみを行う「対照群」(31人)
    • TACEにフアイア顆粒を併用する「実験群」(31人)

治療の詳細

  • TACEとは?
    がんに栄養を送る血管に、抗がん剤とスポンジのような物質(ゼラチン粒子)を注入して血流を止め、がんを「兵糧攻め」する治療です。
  • フアイア顆粒の使い方
    実験群の患者には、TACEの3日前から1日3回、1回20gのフアイア顆粒を服用してもらいました。

📊結果(分かりやすいまとめ)

比較項目TACE+フアイア群TACEのみ群結果
6か月生存率100%90.3%
12か月生存率93.5%80.6%◎(有意差あり)
中央値生存期間20.6か月17.1か月△(差はあるが統計的には微妙)
治療回数(平均)2.9回4.1回◎(少なくて済んだ)
副作用軽微で差なし軽微で差なし

🧬なぜ効果があるの?

フアイア(Huaier)は、漢方由来のキノコから作られた製剤で、以下のような働きがあるとされています:

  • 血管の新生を抑える:がんに新しい血管ができるのを防ぎます
  • 免疫を活性化:がんと戦う体の力を強めます
  • がん細胞の死滅を促す:TACEで取り逃したがん細胞にも働きかけます
  • 肝臓の回復を助ける:TACE後の肝機能をサポートする可能性があります

🧾結論

TACEにフアイア顆粒を加えることで、治療の効果が高まり、副作用も増えず、治療回数も減らせるというメリットが示されました。

今後はもっと多くの患者さんで研究する必要がありますが、肝がん治療において、フアイア顆粒は有望な補助療法であると考えられます。



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