悪性の乳腺疾患

乳がんとは?

乳がんの基本情報:

  • 乳がんは乳房の悪性腫瘍(上皮性がん)であり、遺伝子変異によって引き起こされることがあります。生涯罹患率は11.2%、9人に1人が発症するといわれ、日本女性に最も多いがんです。

乳がんのリスク要因と症状:

  • 他のがんよりも環境要因や家族歴が強く、30代からリスクが増加します。しこりや乳房の形の変化、血性乳頭分泌などがよく見られる症状で、近年は無症状でもマンモグラフィや超音波検査で見つかることが増えています。

乳がんの検査方法と治療の重要性:

  • 乳がんの検査にはマンモグラフィと超音波検査が有用で、確定診断には針生検を行い、病理学的検査を行います。ステージ(がんの広がり)を知るためにはCTやMRI、PET/CT検査が有用です。乳がんは大きく分けて5種類のサブタイプがあり、サブタイプによって予後や治療法が変わります。

詳細は以下のリンクから知ることができます。

国立がん研究センターがん情報サービス:乳がん 患者数(がん統計):[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

Q.乳がんとはどのようながんですか?

A.母乳をつくる「腺組織」にできる悪性腫瘍です大まかに分けると、女性ホルモン依存性乳がんと非依存性乳がんがあります。乳管の内側にとどまっているがんを非浸潤乳管がん(DCIS)といい、乳管を破って間質に進展すると浸潤がんと呼ばれます。

Q.乳がんの自覚症状はありますか?

A.乳がんの自覚症状として、腫瘤(しこり)、皮膚陥没(ひきつれ)、乳頭血性分泌、乳頭びらん、皮膚赤み、皮膚潰瘍などあります。しかし最近は乳がん検診によるマンモグラフィやエコー検査で症状がない状態で早期に発見されることが増えてきました。そのため、定期的な乳がん検診が重要なのです。

Q.乳がんの病気診断(ステージ)とはなんですか?

A.乳がんの腫瘍の大きさやリンパ節転移の有無でステージが決まります。腫瘍が2cm以下でリンパ節転移がなければ95%以上の方が治癒することが知られています。いまは手術だけでなく、お薬の治療が進歩したため、ステージが高くても治癒する可能性が高くなっています。

Q.乳がんのサブタイプとはなんですか?

A. 乳がんはその遺伝子的な特徴から大きく分けて5つのサブタイプに分けられます。それぞれの主要な治療法をまとめたものです。ホルモン感受性、HER2タンパクの有無、Ki67レベルによって主な治療薬が含まれています。以下に表にまとめました。サブタイプの特徴と治療オプションを理解しやすくなります。

*そのほか、PDL1やBRCA変異の検査をする場合もあります。今後も新たな治療薬の登場によってサブタイプは細分化するかもしれません。

その他の乳房の悪性腫瘍

乳房悪性リンパ腫

悪性リンパ腫の特徴と症状

  • 乳房やわきの下や全身のリンパ節が腫れることで気づくこともあります。発熱を伴う場合もあります。乳がんと比べて頻度はとても低いです。

乳がんとの違い

  • 乳房内やわきの下に存在するリンパ節に発生するリンパ球のがんです。

治療の重要性

  • 摘出生検が必要です。一般的には血液内科において抗がん剤の専門的治療を行います。

乳房肉腫

乳房肉腫の特徴と症状:

  • 乳房内に発生する悪性腫瘍で、急速に乳房が大きくなる、腫れる、痛みがあるといった症状が見られます。

乳がんとの違いと頻度:

  • 乳がんとは異なり、間葉系組織に発生する悪性腫瘍であり、頻度は非常に低いです。悪性度が高い腫瘍が多いため、早期の検査と治療が必要です。

治療の重要性

  • 比較的若い女性に多く見られるという実感があります。非常にまれな病気であり、針生検で偶然に診断される場合があります。

乳房パジェット病

パジェット病の特徴と症状:

  • 乳首の皮膚のただれや下着に血が付くといった症状で受診される方が多く、主に高齢者に多い病気です。

診断方法:

  • 検査のほか、針生検や切除を行い、組織検体を採取したのち病理学的に診断する必要があります。

治療と合併症:

  • パジェット病に乳がんが合併することもあり、手術で切除が必要です。

Q.画像診断で異常所見を見つけら、どんな検査をしますか?

A.乳がんを含め乳腺病変はマンモグラフィと超音波検査によって同定されます。それでも分からない場合はCTやMRI、PET/CTなどを追加して検査を行います。腫瘍を同定できた場合は、当院で針生検を施行します。針生検は皮膚を局所麻酔したうえでお箸くらいの太さのニードルを腫瘍に刺して組織採取を行います。

確定診断までの流れ

針生検で採取された組織切片は特殊な処理をしたのち、顕微鏡で目視による病理医によって診断されます。このプロセスに1週間程度の時間を要します。その後、マンモグラフィや超音波検査の診断と一致するか確認をします。一致していれば確定診断となります。一致していない場合は、針生検のサンプリングエラー(診断のために十分な量が採れていないこと)を疑い、再生検をする場合もあります。がんの見逃しがないために、とても重要な診断過程となりますのでご理解ください。

乳がんと診断されたらどうなるの?

まず全身CT撮影をしてリンパ節やほかの臓器に転移がないことをスクリーニングします。当院では手術を行っておりませんので、連携するがん専門病院にご紹介します。紹介状のほか、当院で撮影した画像の入ったCD-ROMをお渡しします。


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