がんのセルフコントロール:サイモントン療法の理論と実践

カール・サイモントン著『がんのセルフコントロール(原題:Getting Well Again)』を紹介します。

1980年代、治療が限られていた時代に、がんと向き合う力を教えてくれた1冊。現代でも心の支えになるヒントがここにあります。


📘基本情報

  • 書名:がんのセルフコントロール
  • 原題:Getting Well Again
  • 著者:カール・サイモントン(Carl Simonton)、ステファニー・マシュー・サイモントン(Stephanie Matthews-Simonton)ほか
  • 出版年:1978年(原書)、日本語版も多数出版されています
  • 職業・背景:カール・サイモントンは米国の放射線腫瘍医。心理面とがんの関係に注目し、患者参加型の治療プログラムを開発

🌟概要

1. 心と体のつながり(心身相関)

  • がんをはじめとする病気は、身体だけでなく「心の状態」に大きく影響を受ける。
  • ストレス、不安、抑うつなどが免疫機能に悪影響を与えることがある。

2. イメージ療法の導入

  • 「がん細胞が消えていくイメージ」「免疫細胞が戦っている姿」を頭の中で繰り返し想像することで、回復への自己治癒力を高める。
  • 視覚化(ビジュアライゼーション)を毎日数分行うことが推奨される。

3. 感情の解放

  • 抑え込んできた怒りや悲しみなどの感情を適切に表現することが、身体の回復につながる。
  • 感情を抑圧するとストレスが蓄積し、免疫機能が落ちる可能性がある。

4. 人生の再評価と目標設定

  • がんを「人生の警鐘」として捉え、生き方を見直すこと。
  • 価値観の整理、新しい人生の目標や意味の再発見が回復への原動力になる。

5. 患者自身が治療の主体になる

  • 医師任せでなく、患者自身が「治ることを選ぶ」という意志と行動を持つことが重要。
  • セルフコントロールとは、「病気に振り回されるのでなく、自分で対処法を選ぶ力」。

🧠重要なメッセージ

「治癒は単なる医療行為ではなく、心と体の協力で起きるプロセスである」

がんのセルフコントロール:サイモントン療法の理論と実践


治療プログラム・11の実践項目


💡がんと向き合うための11のセルフケア・ステップ

❶ ストレスと向き合う

がんになる前の半年〜1年半の間に感じた大きなストレスを5つ書き出します。過去を責めるのではなく、「自分をもっと元気にするには、どこを変えたらいいかな?」と見直す作業です。


❷ 病気で得た“こころのメリット”に気づく

病気になると、周りに甘えたり、感情を出しやすくなることがあります。もし「治ってきたね」と言われて落ち込んでしまうなら、病気がくれた“心の便利さ”を手放すのが怖いのかもしれません。


❸ リラックスとイメージトレーニング

がん細胞をやっつけるイメージを、リラックスしながら心に思い描きます。たとえば、白血球ががん細胞を攻撃している様子など。1日3回、呼吸を整えながらやるのがポイントです。


❹ 明るいイメージの力を活かす

自分の中の「がんの姿」をイメージすると、治療の妨げになっている考え方が見えてきます。イメージを変えることで、前向きな気持ちや回復力が引き出せるようになります。


❺ 怒りや恨みを手放す

ずっと心にたまった怒りやうらみは、免疫力を下げてしまいます。我慢せず、少しずつ気持ちを解放していくことが、心と体の健康に役立ちます。


❻ 「生きる目標」を持つ

がんと診断されると将来が不安になるのは当然。でも、3か月後、半年後、1年後に「こんなことをしたい!」という目標を立てて、それを思い描くことで前向きな力が湧いてきます。


❼ 自分の中の“賢い存在”とつながる

心の中にいる「内なる指導者(インナーヘルパー)」=もう一人の自分と、心で会話してみましょう。あなたを癒やし、導いてくれる存在です。


❽ 痛みと向き合う工夫

痛みは、実は「不安」や「緊張」とも関係しています。その原因を探るときも、「内なる指導者」に尋ねてみると、ヒントが得られるかもしれません。


❾ 体を動かす

運動は心にも体にもいい薬。週に3回、1時間ずつ歩いたり、ストレッチしたりしてみましょう。気分が明るくなり、免疫力アップにもつながります。


➓再発や死への不安を話す

「再発したらどうしよう」「死ぬのが怖い」といった気持ちは、心の中で大きくなりがち。話せる相手に打ち明けるだけで、気持ちが楽になります。


⓫ 家族との関係を育てる

患者さんと家族、お互いにやさしい関係を築くためのポイント:

  • 感情を受け入れる
  • 思っていることを言葉にする
  • 聞いてもらい、理解し合う
  • 過剰に甘やかさず、しっかり支える

がんと向き合う中では、どんな感情も“正しい”のです。「こう感じるべき」と決めつけず、自分の気持ちをそのまま大切にしてください🌷


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